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大阪での個人再生とはどのような手続きになるのかについて説明します。


簡単にまとめると…

個人再生を簡単にまとめて言うとすれば,


裁判所に申し立てをして借金の圧縮を受け、計画にしたがって返済していく手続き

ということになります。


以下ではこの内容について詳しく説明します。


国が法律で定めた借金減額制度

法律には「個人再生法」というような法律はなく,「民事再生法」の中に個人を対象とする手続きとして,「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」が定められています。それら二つの手続きを併せて「個人再生」と呼んでいます。

具体的には,民事再生法第221条から個人再生手続に関することが定められています。

このように,個人再生は,国が法律で定めた借金減額制度となります。


もともと,民事再生という手続自体も会社だけでなく個人でも利用することができたのですが,個人の場合には債務の額が少ないことが多く,再出発のためには住宅を残す必要があることなどから,民事再生手続きの特則として個人再生が定められ,住宅資金特別条項が主として利用されることが想定されています。


小規模個人再生とは

個人再生の手続きのうち,まずは小規模個人再生について説明します。

民事再生法第221条第1項には次のように定められています。

「個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。」


つまり,小規模個人再生を利用することができる要件として,

  1. 債務者が個人であること
  2. 将来において継続的または反復して収入を得る見込みがあること
  3. 再生債権の総額が5000万円を超えないこと

が定められています。


小規模個人再生の開始手続

個人再生の流れの全体像については←のページを参考にしてください。

小規模個人再生を裁判所に申し立てるところから詳細に説明していきます。


小規模個人再生の申立てを裁判所にする場合,申立書に小規模個人再生を行うことを求める旨の記載をしなければなりません(民事再生法第221条2項,民事再生規則第112条1項)。

小規模個人再生の申立てをする際には,債権者一覧表と再生債務者の生活の状況などを記載し,それらに関する書面を提出しなければなりません(民事再生法第221条第3項,民事再生規則第112条第2項・第3項)。


小規模個人再生の開始決定

申立書や添付書類などから要件を満たしていることが確認されれば,裁判所は,小規模個人再生の開始決定をします(民事再生規則第116条第1項第1号)

また,開始決定と同時に,債権届出期間や,届出があった債権に対して異議を述べることができる期間も定められ,そのことが官報で公告されます(民事再生法第222条第1項・第2項)。


再生債権の届出と調査

再生債権の届出がなされ,異議がある場合には異議を述べて債権が確定されます。


再生計画案の作成

以上の手続を経て債権額が確定した後に,再生計画案を作成しますが,再生計画には次のような制限があります(民事再生法第229条第2項)。

  1. 弁済期が三月に一回以上到来する分割払の方法によること
  2. 最終の弁済期を再生計画認可決定確定の日から3年後の日が属する月中の日とすること(特別の事情がある場合には5年を超えない範囲で三年後の日が属する月の翌月の初日以降の日)

再生計画案の決議

裁判所は,異議申述期間が経過した後,不認可事由がないと考えられる場合には,再生計画案を決議に付します(民事再生法第230条第1項・第2項)。

不認可事由は,民事再生法第174条2項各号の他に,住宅資金特別条項を定めた再生計画案の場合には,その不認可事由(民事再生法第202条第2項第1号から第3号),小規模個人再生の不認可事由である民事再生法第231条第2項に規定されている事項となります。


以上の要件が満たされていれば,裁判所は提出された再生計画案を決議に付する旨の決定(付議決定)をします(民事再生法第230条第3項)。その際には,議決権行使の方法として,書面等投票(民事再生法第169条第2項第2号)の方法によることもさだめられます。

付議決定をした場合,付議決定をした旨や回答期限などが官報で公告されます(民事再生法第230条第4項)。


再生計画の認可決定

民事再生法第230条第4項に定められた期限内に再生計画案に同意しない旨を書面で回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず,かつ,その議決権の額が議決権の総額の2分の1を超えない場合には,再生計画案の可決があったものとみなされます(民事再生法第230条第6項)。

裁判所は,再生計画案が可決された場合には,不認可事由が認められる場合を除いて,再生計画の認可決定をします(民事再生法第231条第1項)。


個人再生で債権者の反対があった場合


以上が小規模個人再生の概要となります。次に,給与所得者等再生について説明します。


給与所得者等再生とは

民事再生法第239条には,次のように定められています。

民事再生法「第二百二十一条第一項に規定する債務者のうち、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「給与所得者等再生」という。)を行うことを求めることができる。」


つまり,小規模個人再生を利用できる要件に加えて,定期的に安定した収入がある場合には,給与所得者等再生を利用することができるとし,その場合には,再生計画案についての決議そのものを省略することができます。


給与所得者等再生の開始決定

個人再生の流れの全体像については←のページを参考にしてください。

申立書や添付書面などから,小規模個人再生の要件と給与所得者等再生の要件のすべてが満たされていると認められる場合には,裁判所が給与所得者等再生の開始決定をします(民事再生規則第138条)。

申立ての際には,債権者一覧表と確定申告書や源泉徴収票の写しなど,再生債務者の収入を明らかにする書面などの提出が必要となります(民事再生規則第136条第3項)。

決定の際に定められる事項などについては小規模個人再生の場合と同様です(民事再生法第244条・民事再生法第222条)。


再生債権の届出と調査

小規模個人再生の場合と同じです。


再生計画案の作成

小規模個人再生の場合と同じです。


再生計画案についての意見聴取

給与所得者等再生では,再生計画案についての決議は不要(民事再生法第244条・第245条)とされていますのが,再生債権者には不許可事由の有無について意見を述べる機会が保障されています(民事再生法第240条)。

再生計画案について不認可事由がなければ,裁判所は,意見聴取の決定をし,その旨が官報に公告されます(民事再生法第240条第2項)。


再生計画案の認可決定

意見陳述の期間が経過すれば,裁判所は,不認可事由がある場合を除いて,再生計画案の認可決定をします(民事再生法第241条)。


以上が個人再生の概要についての説明となります。参考に大阪地方裁判所のQ&Aのページもご紹介します。

ご不明な点がありましたら当事務所までお気軽にお問い合わせください。


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この記事を書いた弁護士


弁護士 谷 憲和(大阪弁護士会所属)


弁護士登録以来10年以上にわたって,債務整理・自己破産・個人再生を取り扱っています。

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